斬-the black side blood union-

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 その頃、俺・羽村リョウジは。
「うぉおおおおおおおおおおおおおっ!!」
 ざくざくざくざくざくざくざく。
「てやああああああああああああっ!!」
 ざくざくざくざくざくざくざく。
「そぉぉおおいやぁぁぁあああああああっっ!!!」
 ざくざくざくざくざくざくざく。
 1人林の中で、何故か、死にものぐるいで穴を掘っているのだった。
「……ぜぇ……はぁ」
 しかしさすがに疲れてきた。
 穴の底にスコップを突き刺し、もたれ掛かって呼吸する。
 見上げると真円の夕空。かなり掘った。
 汗を拭い、自分の功績を讃えるべく皮肉な笑みなど浮かべてみた。
「へ……見付からねぇなあ、埋蔵金」
「ばかじゃないの」
「む」
 穴の縁に人影が差す。
 2人分のシルエット。
「まったく……非常招集って言うから何事かと思えば。何? 私に穴掘りの手伝いでもし
ろっての? イヤよ、絶対イヤ」
 1人は同世代の女。日傘を差し、肩にウサギのぬいぐるみを乗せ、呆れた声で俺を見下
《みくだ》している。
「…………」
 もう1人は長髪の男子高校生。何故か段ボール箱を抱き、珍しく口を閉ざしているが、
代わりに脇に置いた檻からけたたましいケモノたちの声が聞こえていた。
 みぎゃーふぎゃー。
 そんな不吉大合唱を浴びながら、俺は唇の端をつり上げる。
「来たか、お前ら」
「来てやったわよ、狩人見習い君」
 そして訪れたお買い物の時。
 しめて合計4000円、秘密の人件費なのだった。




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