「斬-the black side blood union-」
これは、願望から生まれた「呪い」を討つ「狩人」達の物語
苦痛憎悪絶望渇望。
それら人間の負の感情は呪いとなり、やがて人を殺す「バケモノ」を現実に生み落とす。
異常現象狩り見習いの少年・羽村リョウジは、『魔女』と呼ばれている師匠の下で修行を続けていた。
■ネバーランド編
――――連続児童惨殺事件
世間を騒がせる残虐非道な事件。
攫われた子供は、まるで獣に食い散らかされたようにごっそりと内蔵を失っているという。
そんな残酷な事件の裏で渦巻く怪異の存在――――『呪い』。
事件現場に残された異常現象の痕跡を追って、狩人たちは動き出す。
「行き場を無くした子供たちは、一体どこへ行くのだろう。太陽のない世界に置き去りにされて」
次々と異様な死を遂げていく子供たち。
異常現象狩りの少年・羽村リョウジは、
未来予知能力者を名乗る少年・相沢ユウヤと遭遇し、この連続殺人を考察する。
歪んだ大人が無垢な子供の人生を壊し、その子供がまた歪んだ大人となって子供を壊し、繰り返し、負の連鎖を続けていく。
呪いの押し付け合い、底抜けに沈み続けていく終わりなき悪意の王国。
「―――――大人のいない世界をつくろう」
愚かな大人たちに別れを告げ、呪いを束ねて子供だけの美しい世界を築く。
残酷と悲劇の狭間で、無情な大人たちの世界に溺れながら子供たちは死後もなお|呪《ねが》い続けていた。
顕現する強大な異常現象『ネバーランド』、
愛される天使に相応しい真っ白な翼の呪い、
あの夕焼けの公園に忘れてきた最期の願い。
すべてが揃った時、悪夢の空に、虚しくも優しい福音の鐘が鳴り響く。
(2021年8月17日連載開始。)