生徒会長 14/14

back | top | next




■後日談、右京こと栗原ちとせの報告書。
   (※執筆時刻:23時47分/自室にて※)

『ウソじゃないんです。ホントなんです。ほんとにわたし、見ちゃったんです。マジ半端
ねぇっす。ええだから、ほんとの本当に嘘なんかじゃないんですって。
 作り話? ちげぇます。全然まったくちげぇます。アオイ先輩におばけ見せてあげよう
とかそーいうのじゃねぇんです。ほんと。マジで、あの夜の視聴覚室で見ちゃったんです
ってばわたし。もしゃむぐ、ああおいしい。
 え? ああ、これはですね。さっき犬の散歩中に貧血で倒れてしまった場所が、たまた
ま偶然タコヤキ屋台の目の前でして、親切なお兄さんがこれどうぞ〜って。ちょ、待って
下さい。そんな「おまえ実は毎回わざと飲食店の前で寝たふりしてるだろ」みたいな目で
見ないで下さい、ちげぇます、全然ちげぇますわざとじゃねーですからー。
 えーと、それでですね。そう。夜の視聴覚室なんですよ。
 黒川君の助言を元に、アオイ先輩のIDを盗用して作ってるホームページ。黒猫怪奇相
談室? あれの管理人を捕まえようと罠張ってみたわけなんですね。その夜は先輩方お2
人とも用事があったので、しょうがなくわたし1人で張り込みしてたわけなのですが。
 でね。
 犯人とうとう現れたんですよ。
 よっしゃー! と音速でわたしは生徒会室を飛び出し、隣の視聴覚室のドアをがっし
ゃーんと蹴破ったんですね。ちとせキックで。すると「誰だ!?」って声が聞こえたんで
す、ハイ。絶対に本当に聞き間違いじゃないです。確かにアイツは人間の言葉を発しやが
ったんです。
 そう。
 あれはぜったい目の錯覚なんかじゃなかったです。まっくらな教室で唯一光る、PCデ
ィスプレイの前に確かにいました。
 黒毛で赤目の。やたらめったら目つき悪い、その小動物が肉球でカタカタと——


/生徒会長




back | top | next